| あ |
79 |
秋風に秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出ずる月の影のさやけさ |
あきかぜに |
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1 |
秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ |
あきのたの |
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52 |
明けぬれば暮るるものとは知りながら なお恨めしき朝ぼらけかな |
あけぬれば |
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39 |
浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき |
あさじうの |
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31 |
朝ぼらけ有明けの月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 |
あさぼらけあ |
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64 |
朝ぼらけ宇治の川霧絶えだえに あらはれ渡る瀬々の網代木 |
あさぼらけう |
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3 |
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む |
あしびきの |
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78 |
淡路島かよふ千鳥の鳴く声に 幾夜ねざめぬ須磨の関守 |
あわじしま |
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45 |
あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな |
あはれとも |
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43 |
逢い見てののちの心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり |
あひみての |
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44 |
逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし |
あふことの |
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12 |
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ |
あまつかぜ |
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7 |
天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山にいでし月かも |
あまのはら |
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56 |
あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな |
あらざらむ |
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69 |
嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり |
あらしふく |
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30 |
有明けのつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし |
ありあけの |
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58 |
有馬山いなの笹原風吹けば いでそよ人をわすれやはする |
ありまやま |
| い |
61 |
いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重ににほひぬるかな |
いにしへの |
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21 |
いま来むといひしばかりに長月の ありあけの月を待ち出でつるかな |
いまこむと |
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63 |
今はただ思ひたえなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな |
いまはただ |
| う |
74 |
憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを |
うかりける |
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65 |
恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ |
うらみわび |
| お |
5 |
奥山にもみじ踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき |
おくやまに |
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72 |
音にきく高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ |
おとにきく |
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60 |
大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立 |
おおえやま |
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26 |
小倉山峰のもみじ葉心あらば いまひとたびのみゆき待たなむ |
おぐらやま |
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95 |
おほけなくうき世の民におほふかな わがたつ杣にすみぞめのそで |
おほけなく |
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82 |
思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり |
おもひわび |
| か |
51 |
かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを |
かくとだに |
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6 |
かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞふけにける |
かささぎの |
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98 |
風そよぐならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏のしるしなりける |
かぜそよぐ |
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48 |
風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけて物を思ふころかな |
かぜをいたみ |
| き |
15 |
君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ |
きみがためは |
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50 |
君がためをしからざりし命さえ ながくもがなと思ひけるかな |
きみがためを |
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91 |
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む |
きりぎりす |
| こ |
29 |
心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花 |
こころあてに |
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68 |
心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな |
こころにも |
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97 |
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くやもしほの身もこがれつつ |
こぬひとを |
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24 |
このたびはぬさもとりあへず手向山 もみぢの錦神のまにまに |
このたびは |
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41 |
恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか |
こいすてふ |
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10 |
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関 |
これやこの |
| さ |
70 |
さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ |
さびしさに |
| し |
40 |
忍ぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで |
しのぶれど |
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37 |
白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける |
しらつゆに |
| す |
18 |
住の江の岸による波よるさへや 夢の通ひ路人めよくらむ |
すみのえの |
| せ |
77 |
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末にあわむとぞ思ふ |
せをはやみ |
| た |
73 |
高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ |
たかさごの |
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55 |
滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ |
たきのおとは |
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4 |
田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は振りつつ |
たごのうらに |
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16 |
立ち別れいなばの山の峰におふる まつとし聞かば今帰り来む |
たちわかれ |
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89 |
玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする |
たまのおよ |
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34 |
誰をかもしる人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに |
たれをかも |
| ち |
75 |
ちぎりおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり |
ちぎりおきし |
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42 |
契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波超さじとは |
ちぎりきな |
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17 |
ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれないに水くくるとは |
ちはやぶる |
| つ |
23 |
月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど |
つきみれば |
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13 |
筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる |
つくばねの |
| な |
80 |
ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ |
ながからむ |
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84 |
ながらえばまたこのごろやしのばれん 憂しと見し世ぞいまはこいしき |
ながらへば |
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53 |
嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る |
なげきつつ |
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86 |
嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな |
なげけとて |
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36 |
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ |
なつのよは |
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25 |
名にしおはば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな |
なにしおはば |
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88 |
難波江の葦のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき |
なにわえの |
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19 |
難波潟短き葦のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや |
なにわがた |
| は |
96 |
花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり |
はなさそふ |
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9 |
花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふる眺めせし間に |
はなのいろは |
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2 |
春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 |
はるすぎて |
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67 |
春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそ惜しけれ |
はるのよの |
| ひ |
33 |
ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ |
ひさかたの |
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35 |
人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける |
ひとはいさ |
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99 |
人もをし人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆえに物思ふ身は |
ひともをし |
| ふ |
22 |
吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ |
ふくからに |
| ほ |
81 |
ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただありあけの月ぞ残れる |
ほととぎす |
| み |
49 |
みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつ物をこそ思へ |
みかきもり |
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27 |
みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ |
みかのはら |
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90 |
見せばやな雄島のあまの袖だにも ぬれにぞぬれし色は変はらず |
みせばやな |
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14 |
みちのくのしのぶもぢずり誰ゆえに 乱れそめにし我ならなくに |
みちのくの |
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94 |
み吉野の山の秋風さ夜ふけて ふるさと寒く衣打つなり |
みよしのの |
| む |
87 |
村雨の露もまだひぬまきの葉に 霧たちのぼる秋の夕暮れ |
むらさめの |
| め |
57 |
めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな |
めぐりあひて |
| も |
100 |
百敷やふるき軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり |
ももしきや |
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66 |
もろともにあはれと思へ山ざくら 花よりほかに知る人もなし |
もろともに |
| や |
59 |
やすらはで寝なましものを小夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな |
やすらはで |
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47 |
八重むぐら茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり |
やへむぐら |
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32 |
山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬもみぢなりけり |
やまかわに |
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28 |
山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば |
やまざとは |
| ゆ |
71 |
夕されば門田の稲葉おとづれて 葦のまろやに秋風ぞふく |
ゆうされば |
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46 |
由良の門をわたる舟人かぢをたえ ゆくへも知らぬ恋の道かな |
ゆらのとを |
| よ |
93 |
世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも |
よのなかは |
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83 |
世の中よ道こそなけれ思い入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる |
よのなかよ |
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85 |
夜もすがらもの思ふころは明けやらで ねやのひまさへつれなかりけり |
よもすがら |
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62 |
夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ |
よをこめて |
| わ |
8 |
わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり |
わがいおは |
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92 |
わが袖は潮干にみえぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし |
わがそでは |
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38 |
忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな |
わすらるる |
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54 |
忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな |
わすれじの |
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76 |
わたの原こぎ出でて見ればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波 |
わたのはらこ |
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11 |
わたの原八十島かけてこぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟 |
わたのはらや |
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20 |
わびぬればいまはた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ |
わびぬれば |