5. 奥山にもみじ踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき / 猿丸大夫
(読み)おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき / さるまるだゆう
(訳)奥深い山の中に紅葉を踏み分けやってきて、鹿の鳴き声をきくと秋の悲しさがひとしお身に染みることです。
(解説)
・オスの鹿はメスを求めて「ピー」と鳴く。この鳴き声は秋の季語。
・秋の山の情景(目)と、鹿の鳴き声(耳)があいまって、人恋しさが募る。
・この歌は古今和歌集では詠み人しらずになっている。
(作者)
猿丸大夫(さるまるだゆう・たいふ)。歌人。三十六歌仙の1人。