15. 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ / 光孝天皇
(読み)きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ / こうこうてんのう
(訳)あなたのために春の野にでかけて、若菜をつんでいる私の袖に雪がちらちらと降りかかっています。
(解説)
・『古今集』に載っている歌。光孝天皇がまだ時康親王と呼ばれる時代のもの。
・宮中では年のはじめに若菜つみが行なわれる。正月七日に若菜(春の七草)を食べると邪気が払われるとされた。
(作者)58代・光孝天皇。54代・仁明天皇の第3王子。59代宇多天皇の父。小さいころから和歌や学問が好きな皇子だった。55才で基経に推され、57代陽成帝(13)のあと即位したが、4年後に亡くなる。