82. 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり / 道因法師 – 百人一首note

82. 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり / 道因法師

82. 思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり / 道因法師(どういんほうし)

(読み)おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり

(訳)思い悩んでいてそれでも命はあるのに、辛さにこらえきれないのは涙なのだなあ。

(解説)
・命と涙。自分ではコントロールできない二つを比べて表現している。

65「うらみわび」の歌と、「〜わび」・「あるものを」の部分が共通している。


(作者)道因法師(どういんほうし)。藤原敦頼(あつより)。崇徳院(77「せをはやみ」)に仕えた。

80歳で出家。80代になってからも秀歌ができるよう住吉神社にお参りしたり、90代で歌会にも参加するなど歌道に熱心だった。

死後、『千載集』に多くの和歌が掲載されたのを喜び、撰者俊成(83)の夢に現れたとの逸話が残る。