35. 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける/紀貫之

35. 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける/紀貫之

ひとはいさこころもしらずふるさとは はなぞむかしのかににおいける(きのつらゆき)

(訳)あなたは、さあ、心変わりしているのかお心は分かりません。昔なじみのこの里では梅の花が昔と変わらず咲き誇っているのです。

(解説)
・大和(奈良)の初瀬寺(はせでら)へ行ったときに詠んだ歌。初瀬寺は十一面観音で有名。


(作者)
紀貫之。紀友則(33「ひさかたの」)の従兄弟。「古今和歌集」の撰者。仮名序(仮名の序文)を書き、その中で六歌仙についても述べた。

「土佐日記」の作者。女性を装い、かな文字で書かれた日本最古の日記文学。