68. 心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな/三条院(さんじょういん)
(訳)心ならずもこのはかない現世で生きながらえていたならば、きっと恋しく思い出されるに違いない、この夜更けの月のことを。
(解説)
・三条院(さんじょういん)は、目を患ったことを理由に退位を迫られた。
・「夜半の月かな」は「めぐりあいて」の最後とも同じ。
(作者)三条院(さんじょういん)。67代三条天皇。63代・冷泉天皇の皇子。
宮中の二度の火事と目の病気を理由に、藤原道長の圧力で5年で退位させられた。
道長の孫(68代・後一条天皇)に位を譲った。