84. ながらえばまたこのごろやしのばれん 憂しと見し世ぞいまはこいしき/藤原清輔朝臣
ながらえばまたこのごろやしのばれん うしとみしよぞいまはこいしき(ふじわらのきよすけあそん)
(訳)生きながらえていたならば、辛い今のことも懐かしく思い出されるのだろうか。辛かった過去がいまは恋しく思うのだから。
(解説)
過去、現在、未来を見る諦観の歌。
諦観(ていかん):本質を明らかに見てとる。悟りの境地にあって物事をみること。
(作者)藤原清輔朝臣(ふじわらきよすけのあそん)。父・藤原顕輔(79「秋風に」)とは折り合いが悪く、出世できず苦しい日々を送る。