50. 君がため をしからざりし 命さえ ながくもがなと 思ひけるかな / 藤原義孝
(読み)きみがため おしからざりし いのちさえ ながくもがなと おもいけるかな(ふじわらのよしたか)
(訳)あなたに逢うためならと惜しくなかったこの命。逢ってしまった今では長くあってほしいと願うようになったのです。
(解説)
・「君がため」・・あなたに逢うためなら
・「長くもがな」・・長くあってほしい「もがな」は願望
・後朝(きぬぎぬ)の歌。
(作者)藤原義孝(ふじわらのよしたか)。謙徳公(藤原伊尹・これただ)(45「あはれとも」)の三男。藤原行成(三蹟の一人)の父。まじめで仏教にも熱心。美しい容姿だったと言われる。21才で天然痘で亡くなる。