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藤原定家

藤原定家(1162~1241)

小倉百人一首の撰者。「97来ぬ人を」の作者。権中納言定家。日記『明月記』。

宇都宮頼綱(息子の妻の父)に依頼されて嵯峨野の小倉山の別荘に飾るための歌を選んだ。

定家の父、藤原俊成(83世の中よ)は「幽玄(神秘的で奥深い美)」を提唱。

定家はそれにもとづいた芸術性の高い和歌を選んで『新古今和歌集』(13C初、鎌倉時代)をつくった。後鳥羽院の勅命。(『古今和歌集』は10C初、平安時代)。

定家が唱えた「有心体(うしんたい)」とは趣深い内容を優美に表現する風情のある読み方。和歌の究極とされた。

また源氏物語の書写をして後世に残した。

 

参考にしている「百人一首」の本

・百人一首の参考本
管理人が参考にしている百人一首の本を紹介します。(以下リンク先は感想)

<百首全部の解説あり>
『まんが百人一首大辞典』
『マンガで楽しむ古典 百人一首』
『わたしたちの古典 百人一首』
『原色小倉百人一首』

<その他>
漫画『うた恋い。』『うた変』
『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』
漫画『ちはやふる』全50巻

 

『まんが百人一首大辞典』


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百人一首全部を一首ずつ丁寧に解説してくれています。まんがなので分かりやすく、初心者の私の入門編の本としてぴったりでした。

小学生向けなのでフリガナが打ってあるのもありがたいです。(読み方をネットで調べるのは時間がかかるもので。)

内容はかなり充実しているので、大人の学び直しにもいい一冊だなと思います。

オールカラーなのもグッド。歌の意味の解説や、語句の説明、作者についてなど情報たっぷりです

本の中身はこんな感じ。↓↓ 見開きで1首ずつ説明があります。

 

 

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『マンガで楽しむ古典 百人一首』

こちらも一首ずつ、百首すべての解説があります。右半分にマンガ、左半分のページに解説が載っているという感じです。

歌の解釈だけではなく、その歌人についてとか時代背景などさらに詳しい解説があるのでより深い学びになります。

 

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■『わたしたちの古典 百人一首』

 

マンガと文章で分かりやすく、一首ずつ、百首全ての解説があります。特に歌人についての情報が詳しいなと感じます。

歌人の絵がなにげにその人の特徴を表しているのがいい感じ。(音楽にも長けている人なら琴を弾いてる絵だったりする。)

表紙はハードカバーです。

 

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■『原色小倉百人一首』

これは詳しい品詞の解説があったので買いました。すべての和歌を単語ごとに区切って言葉の品詞を解説してくれています。

それぞれの歌に合わせた写真もきれいです。

それから表紙カバーに切れ目が入っていて、下の本の色が月に見えるようになっている仕掛けが素敵だなあと思いました。すごく凝ってる。。本として装丁が美しいなと思いました。

それから歌人の家系図もいいですね。歌人同士のつながりが分かるので楽しいです。

CD音声も付いてたのもよかったです。

 

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『超訳百人一首 うた恋い。』(うたこい。)

好きなんですよね、この作品。情緒があって。グッときます。報われない恋とか切ない。。

百人一首にまつわる短編集の漫画でいろんなお話、いろんな歌が載っていて、どの話も素敵です。。

※「うたこい」と「うたへん」があって、『うた恋い』は普通の漫画で、『うた変(うたへん)』は同じシチュエーションで4コマ漫画になってます。

 

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『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』

もし紫式部が現代に生きるOLだったら・・というコミックエッセイです。

現代で言うならこんな感じかな?という置き換えがおもしろく、全体的にコミカルで笑える感じです。

百人一首の歌は全部ではありませんが主要な歌はたくさん出てきます。フフっと笑いながら歌を学べてよかったです。

(※さらに、これとは別に「大鏡編」のバージョンもあるようです。表紙がよく似ているのでご注意を。「通常編」は紫式部がスカート、「大鏡編」はパンツスーツです。)

 

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『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』

 

 


■  マンガ『ちはやふる』全50巻

 

私が「百人一首」についてもっと知りたいな~と思ったきっかけのマンガです。競技カルタ部のお話。アツくて青春!を感じるお話です。

マンガは全50巻とかなりのボリュームですが、面白いので読みだしたら止まりません。全巻そろえちゃいました。

百人一首の歌の中身についても解説が時々出てくるので重宝しています。(登場人物でいうとかなちゃんとか、しのぶちゃんが出てくるパートは、歌の中身や意味について教えてくれる場面が多いので好きです。)

アニメになったり、広瀬すずちゃん主演で映画化にもなりました。しのぶちゃんがめっちゃしのぶちゃんでした。よかったです(松岡 茉優(まゆ)さん)。マッケンユーの新もよかったな。

 

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百人一首【五十音順】歌全部版

百人一首【五十音順】歌全部版  歌一部版

   え     く け 
    そ     て と
 に ぬ ね の     へ 
ま         

 あ 79 秋風に秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出ずる月の影のさやけさ あきかぜに
1 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ あきのたの
52 明けぬれば暮るるものとは知りながら なお恨めしき朝ぼらけかな あけぬれば
39 浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき あさじうの
31 朝ぼらけ有明けの月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪 あさぼらけあ
64 朝ぼらけ宇治の川霧絶えだえに あらはれ渡る瀬々の網代木 あさぼらけう
3 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む あしびきの
78 淡路島かよふ千鳥の鳴く声に 幾夜ねざめぬ須磨の関守 あわじしま
45 あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたづらになりぬべきかな あはれとも
43 逢い見てののちの心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり あひみての
44 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし あふことの
12 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ あまつかぜ
7 天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山にいでし月かも あまのはら
56 あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな あらざらむ
69 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり あらしふく
30 有明けのつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし ありあけの
58 有馬山いなの笹原風吹けば いでそよ人をわすれやはする ありまやま
  61 いにしへの奈良の都の八重桜 今日九重ににほひぬるかな いにしへの
21 いま来むといひしばかりに長月の ありあけの月を待ち出でつるかな いまこむと
63 今はただ思ひたえなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな いまはただ
  74 憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを うかりける
65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ うらみわび
  5 奥山にもみじ踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき おくやまに
72 音にきく高師の浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ おとにきく
60 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立 おおえやま
26 小倉山峰のもみじ葉心あらば いまひとたびのみゆき待たなむ おぐらやま
95 おほけなくうき世の民におほふかな わがたつ杣にすみぞめのそで おほけなく
82 思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬは涙なりけり おもひわび
  51 かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしも知らじな燃ゆる思ひを かくとだに
6 かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞふけにける かささぎの
98 風そよぐならの小川の夕暮れは みそぎぞ夏のしるしなりける かぜそよぐ
48 風をいたみ岩うつ波のおのれのみ くだけて物を思ふころかな かぜをいたみ
  15 君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ きみがためは
50 君がためをしからざりし命さえ ながくもがなと思ひけるかな きみがためを
91 きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む きりぎりす
  29 心あてに折らばや折らむ初霜の おきまどはせる白菊の花 こころあてに
68 心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな こころにも
97 来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くやもしほの身もこがれつつ こぬひとを
24 このたびはぬさもとりあへず手向山 もみぢの錦神のまにまに このたびは
41 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか こいすてふ
10 これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関 これやこの
  70 さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ さびしさに
  40 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は 物や思ふと人の問ふまで しのぶれど
37 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける しらつゆに
  18 住の江の岸による波よるさへや 夢の通ひ路人めよくらむ すみのえの
  77 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末にあわむとぞ思ふ せをはやみ
  73 高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ たかさごの
55 滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ たきのおとは
4 田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は振りつつ たごのうらに
16 立ち別れいなばの山の峰におふる まつとし聞かば今帰り来む たちわかれ
89 玉の緒よ絶えねば絶えねながらへば 忍ぶることの弱りもぞする たまのおよ
34 誰をかもしる人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに たれをかも
  75 ちぎりおきしさせもが露を命にて あはれ今年の秋もいぬめり ちぎりおきし
42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波超さじとは ちぎりきな
17 ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれないに水くくるとは ちはやぶる
  23 月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど つきみれば
13 筑波嶺の峰より落つるみなの川 恋ぞつもりて淵となりぬる つくばねの
  80 ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ ながからむ
84 ながらえばまたこのごろやしのばれん 憂しと見し世ぞいまはこいしき ながらへば
53 嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る なげきつつ
86 嘆けとて月やは物を思はする かこち顔なるわが涙かな なげけとて
36 夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ なつのよは
25 名にしおはば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな なにしおはば
88 難波江の葦のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき なにわえの
19 難波潟短き葦のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや なにわがた
  96 花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり はなさそふ
9 花の色はうつりにけりないたづらに 我が身世にふる眺めせし間に はなのいろは
2 春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山 はるすぎて
67 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそ惜しけれ はるのよの
  33 ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ ひさかたの
35 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける ひとはいさ
99 人もをし人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆえに物思ふ身は ひともをし
  22 吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ ふくからに
  81 ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただありあけの月ぞ残れる ほととぎす
  49 みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつ物をこそ思へ みかきもり
27 みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ みかのはら
90 見せばやな雄島のあまの袖だにも ぬれにぞぬれし色は変はらず みせばやな
14 みちのくのしのぶもぢずり誰ゆえに 乱れそめにし我ならなくに みちのくの
94 み吉野の山の秋風さ夜ふけて ふるさと寒く衣打つなり みよしのの
  87 村雨の露もまだひぬまきの葉に 霧たちのぼる秋の夕暮れ むらさめの
  57 めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな めぐりあひて
  100 百敷やふるき軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり ももしきや
66 もろともにあはれと思へ山ざくら 花よりほかに知る人もなし もろともに
  59 やすらはで寝なましものを小夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな やすらはで
47 八重むぐら茂れる宿のさびしきに 人こそ見えね秋は来にけり やへむぐら
32 山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬもみぢなりけり やまかわに
28 山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば やまざとは
  71 夕されば門田の稲葉おとづれて 葦のまろやに秋風ぞふく ゆうされば
46 由良の門をわたる舟人かぢをたえ ゆくへも知らぬ恋の道かな ゆらのとを
  93 世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも よのなかは
83 世の中よ道こそなけれ思い入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる よのなかよ
85 夜もすがらもの思ふころは明けやらで ねやのひまさへつれなかりけり よもすがら
62 夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ よをこめて
  8 わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり わがいおは
92 わが袖は潮干にみえぬ沖の石の 人こそ知らねかわく間もなし わがそでは
38 忘らるる身をば思はず誓ひてし 人の命の惜しくもあるかな わすらるる
54 忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな わすれじの
76 わたの原こぎ出でて見ればひさかたの 雲居にまがふ沖つ白波 わたのはらこ
11 わたの原八十島かけてこぎ出でぬと 人には告げよあまの釣舟 わたのはらや
20 わびぬればいまはた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ わびぬれば

 

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2024年大河ドラマ『光る君へ』× 百人一首

2024年大河ドラマ『光る君へ』 × 百人一首

・紫式部(吉高 由里子さん)
57「めぐりあひて見しやそれともわかぬまに 雲がくれにし夜半の月かな

 

・清少納言(ファーストサマーウィカさん)
62「夜をこめて鳥のそら音ははかるとも よに逢坂の関は許さじ

 

・和泉式部(泉 里香さん)
56「あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな

 

・大納言公任(藤原公任)(町田 啓太さん)
55「滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ

 

・赤染衛門(凰稀(おうき)かなめさん)
59「やすらはで寝なましものを小夜ふけて かたぶくまでの月を見しかな

 

・儀同三司母(板谷 由夏さん)
54「忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな

 

・右大将道綱母(財前 直見さん)
53「 嘆きつつ独りぬる夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る

 

・大弐三位(藤原 賢子)(南 沙良さん)
58「有馬山いなの笹原風吹けば いでそよ人をわすれやはする

 

・三条院(居貞(いやさだ)親王)(木村 達成さん)
68「心にもあらで憂世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな

 

・左京大夫道雅(藤原 道雅)(福崎 那由他さん)
63「今はただ思ひたえなむとばかりを 人づてならでいふよしもがな

 

・清原元輔(大森 博史さん)
42「契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波超さじとは

 

 

 

百人一首と勅撰和歌集10冊

勅撰和歌集について

・「勅撰(ちょくせん)和歌集」とは、天皇や上皇の命によりまとめられた公式の和歌集のこと。

・百人一首はそれまでの勅撰和歌集10冊の中から選ばれている。

・飛鳥時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院まで、約600年の間に歌われた名歌が収められている。

・百人一首には『古今和歌集』から選ばれた歌が一番多く、24首選ばれている。

平安前期 905 01 古今和歌集 (24) こきん
951 02 後撰和歌集 (7) ごせん
平安中期 1005 03 拾遺和歌集 (11) しゅうい
1086 04 後拾遺和歌集 (14) ごしゅうい
平安後期 1127 05 金葉和歌集 (5) きんよう
1151 06 詩歌和歌集 (5) しか
平安末期 1187 07 千載和歌集 (14) せんざい
鎌倉時代 1205 08 新古今和歌集 (14) しんこきん
1235 09 新勅撰和歌集 (4) しんちょくせん
1251 10 続後撰和歌集 (2) しょくごせん

 

 

百人一首・同じフレーズ

百人一首・同じフレーズ


・わが衣手~つつ

(1) 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ

(15)君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ


・ひとりかも寝む

(3)あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む

(91)きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに 衣かたしきひとりかも寝む


・心も知らず

(35)人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける

(80) ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ


・ものをこそ思へ

(49)みかきもり衛士のたく火の夜は燃え 昼は消えつつものをこそ思へ

(80) ながからむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ


・夜半の月かな

57. めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな / 紫式部

68. 心にも あらで憂世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな / 三条院


・さ夜ふけて

59. やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな / 赤染衛門

94. み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて ふるさと寒く 衣打つなり / 参議雅経


・名こそおしけれ

65. 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ / 相模

67. 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ / 周防内侍


・秋の夕暮れ

70. さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ / 良暹法師

87. 村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕暮れ / 寂蓮法師

 

 

1. 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ / 天智天皇

1. 秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ / 天智天皇

あきのたのかりほのいおのとまをあらみ わがころもではつゆにぬれつつ(てんじてんのう)

(意味)
秋の田の仮小屋の屋根の編み方が粗いので、袖が夜露に濡れ続けている。

(解説)
秋の借り入れは年間で一番大切な行事。農民の辛苦を思いやる天皇の慈悲深さを表すとも言われている。

しかしこの歌は天皇本人ではなく元は農民の歌とも言われている。万葉集の作者不明歌で「秋田刈る仮庵を作り我が居れば 衣手寒く霜そ置きにける」が元の歌。

晩秋のわびしい静寂さを美と捉えた歌。言外に静寂な余情を持っているとして定家はこの歌を「幽玄体」の例としてあげた。

 

(語句)
・かりほ・・仮庵(かりいお)、仮に作った粗末な小屋

・〇〇を~み・・〇〇が~なので。理由。
苫をあらみ⇒苫が粗いので

・衣手(ころもで)・・そで

・つつ・・反復、継続の接続助詞。

 


(作者)38代天智天皇(626-672) 。享年46才。中大兄皇子。「万葉集」を代表する歌人の1人。

父は34代舒明天皇、母は35代皇極(37斉明)天皇。

大化の改新をすすめ中央集権の国家を作った。近江令の制定、戸籍づくり、水時計。

近江神宮は天智天皇が祀られているため「競技かるたの殿堂」となっている。

・『万葉集』天智天皇の歌
香具山(かぐやま)は畝傍(うねび)を愛(を)しと耳梨(みみなし)と相(あひ)あらそひき 神世(かみよ)より かくにあるらし

古昔(いにしへ)も然(しか)にあれこそ うつせみも嬬(つま)をあらそふらしき

(訳:香具山は畝傍山を妻にしようとして耳梨山と争った。神代からそうであった。昔からそうだったからいまでも妻を奪い争っている。)