92. わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそ知らね かわく間もなし / 二条院讃岐
わがそでは しおひにみえぬ おきのいしの ひとこそしらね かわくまもなし(にじょういんのさぬき)
(訳)私の着物の袖は、引き潮の時にも見えない沖の石のように、人には知られないけれど、悲しみの涙で乾く暇もありません。
(解説)
・片想いの嘆き
・和泉式部の歌の本歌取。
「わが袖は水の下なる石なれや人に知られでかわく間もなし」
(作者)二条院讃岐(にじょういんのさぬき)。この歌が評判となり「沖の石の讃岐」と呼ばれるようになった。源頼政の娘。78代二条天皇に仕えたあと、後鳥羽院(99)の中宮、宜秋門院任子に使える。
俊恵(85)の催した歌林苑にも参加した。