17. ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは / 在原業平朝臣
(読み)ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは / ありわらのなりひらあそん
(訳)神代の昔にも聞いたことがない。竜田川が紅葉を散り流して水を紅葉の絞り染めにしているとは。
(解説)
・昔の恋人の藤原高子(ふじわらのたかいこ)のために屏風を題材に詠んだ歌。
・高子は56代清和天皇の后(二条の后)で、57代陽成天皇の母。
(作者)在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)(825~880)。51代平城天皇の孫。阿保親王(あぼしんのう)の皇子。在原行平(16「立ち別れ」)の弟。六歌仙、三十六歌仙の1人。
『伊勢物語』の主人公「昔男」のモデルとされる。情熱的な美男子としても有名。
近衛府(このえふ・官職の一つで皇族や高官の警備)。「在五中将(ざいごのちゅうじょう)」とも呼ばれる。
(参考)
・『応天の門』
・『超訳百人一首 うた恋い。』