70. さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ/良暹法師 – 楽しく百人一首

70. さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ/良暹法師

70. さびしさに宿を立ち出でてながむれば いづこも同じ秋の夕暮れ/良暹法師(りょうせんほうし)

(読み)さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづこもおなじ あきのゆうぐれ

(訳)さびしさにたえかねて、家を出てあたりを眺めていると、どこも同じようにさびしい秋の夕暮れが広がっています。

(解説)
・「宿」・・旅館ではなく僧が住む粗末な家(庵・いおり)

・「秋の夕暮れ」は「新古今和歌集」の時代に流行した表現。「秋の夕暮れはさびしいもの」という印象が定着した。


(作者)良暹法師(りょうせんほうし)。比叡山の延暦寺の僧。後朱雀、後冷泉天皇の頃の人。

晩年は京都・大原の里や雲林院に暮らす。

「三夕(さんせき)の歌」・・『新古今集』
・「寂しさはその色としもなかりけり槙立つ山の秋の夕暮れ」(寂蓮)87
・「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮れ」(西行)86
・「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」(藤原定家)97