56. あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一たびの逢ふこともがな/和泉式部
あらざらんこのよのほかのおもいでに いまひとたびのおうこともがな(いずみしきぶ)
(訳)私はもうすぐこの世を去るでしょう。あの世への思い出にせめて今一度お会いしたいものです。
(解説)
・最初の夫、橘道貞を思って詠んだ歌と言われる。
(作者)
和泉式部(いずみしきぶ)。橘道貞(たちばなのみちさだ)と結婚。娘は小式部内侍60「大江山」。中宮・彰子(しょうし)に仕えた。
恋多き女性と言われ、結婚していながら、63代冷泉天皇の皇子、為尊(ためたか)親王や、弟の敦道親王と愛し合ったと言われる。夫とは離婚、父からは勘当される。
『和泉式部日記』は敦道親王の死を悼む歌が124首詠まれている。
66代一条天皇の中宮・彰子に仕えた。藤原保昌と再婚。