18.住の江の岸による波よるさへや 夢の通ひ路人めよくらむ/藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)
すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん
(訳)住の江の岸に打ち寄せる波ではないが、夜に見る夢の中の通い路までも、どうしてあの人は人目を避けるのだろうか。
(解説)
・女性の気持ちになって詠んだ歌
・人目を忍ぶ恋のもどかしさ
・住之江は大阪・住吉の海岸。松の名所で「待つ恋」によく詠まれる歌枕。
(作者)
藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)。17「ちはやぶる」在原業平の妹婿。書道も上手で、京都、神護寺の鐘銘が現存。59代宇多天皇に仕えた。
古今集「あききぬと めにはさやかにみえねども 風のおとにぞ おどろかれぬる」(秋が来たと、はっきりと目にはみえないけれど、風の音で(秋の到来に)はっと気づきました。)も有名な句。