55. 滝の音は耐えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ/大納言公任(だいなごんきんとう)
たきのおとは たえてひさしく なりぬれど なこそながれて なおきこえけれ
(訳)滝の音は長い年月の間に枯れて聞こえなくなったけれど、名高い評判は今も伝わっているよ。
(解説)
・大覚寺(嵐山)で詠まれた歌。200年前は嵯峨天皇の離宮だった。今は「名古曽滝跡(なこそのたきあと)」の碑が立っている。
(作者)
大納言公任(だいなごんきんとう)。藤原公任として「大鏡」にも出てくる。和歌、漢詩、管弦に優れた「三船の才(さんせんのさい)」と称された。
「和漢朗詠集」や「拾遺集」をまとめた。藤原定頼64「朝ぼらけ」は息子。