88. 難波江の葦のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき/皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)
なにわえの あしのかりねの ひとよゆえ みをつくしてや こいわたるべき
(訳)なにわの入り江の芦の刈り根の一節(ひとよ)のような、仮寝の一夜をあなたと過ごしたせいで、澪標(みをつくし)のように身を尽くして恋し続けるのでしょうか。
(解説)
・摂政・藤原兼実の歌合で「旅宿逢恋」という題で詠まれた。遊女の心を想像して詠んだ。一夜限りゆえに思い悩む恋を表現。
・20「わびぬれば」元良親王の本歌取り。
(作者)皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)。源敏隆の娘。崇徳院(77「せをはやみ」)の皇后である皇嘉門院に仕え、別当(女官長)と呼ばれた。