61. いにしへの 奈良の都の 八重桜 今日九重に にほひぬるかな / 伊勢大輔(いせのたいふ)
(読み)いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうここのえに においぬるかな
(訳)かつて栄えた奈良の都の八重桜が、今日はこの九重の宮中で美しく咲きほこっていますよ。
(解説)
・奈良から京都の宮中に八重桜を贈られたときに詠んだ歌。
・「今日」と「京」をかけている。
また
・「いにしえ」と「今日」
・「奈良」と「京都」
・「八重」と「九重(宮中)」
を対比させている。
(作者)
伊勢大輔(いせのたいふ)。伊勢の祭主、大中臣祐親(おおなかとみのすけちか)の娘。大中臣能宣(よしのぶ)(49)の孫。
中宮彰子に仕える。紫式部(57)、和泉式部(56)らと交流があった。